TROPICAL RAINFOREST BIOME 展 vol.1

Tropical Rainforest Biome 展 vol.1 石垣市民会館/シマノバにて開催中です。 石垣島の生態を嗅覚で探る旅。 3/31まで。 Vol.2は4月後半の予定です。

写真&展示プラン: ©︎akikoshintsubo

注:私自身は在廊しておりません。あらかじめご了承ください。

 

 

TROPICAL RAINFOREST BIOME VOL.1

トロピカル・レインフォレスト・バイオーム vol.1

◼︎作品について

5年かけてコレクションした島の香りたちです。独自の方法で素材から香りを抽出しています。瓶の蓋をあけて、ブラインド・スメリングしてください。島の香りは、島の自然界の代謝の産物。島独自のアロマ・スケープを嗅覚で体験してください。

◼︎楽しみ方

  1. ビギナー編:香りを当てっこしてください。答えは「解答・解説」を参照。
  1. 上級者編:解答を見ずに、島の香りを、嗅覚で体感してください。そして、共通点を見つけてください。特徴として、スーッとする香りや、むわっとした花の香りが挙げられると思います。

◼︎体験する際の注意

  • 香りアレルギーのある方は体験をご遠慮ください。
  • 10歳以下の子供は、大人の付き添いのもと鑑賞してください。かならず大人が瓶の蓋を開け閉めしてください。

◼︎匂いの解答・解説

  1. クスノキ

クスノキを蒸留して得られる白い結晶を、樟脳(しょうのう)といいます。むかしの日本では、樟脳を虫除けとして箪笥に入れていたそうです。なので、この匂いを、おばあちゃんちの匂い、着物の匂い、などと思われる方も多いのでは。私に石垣島の自然を教えてくれる人が、クスノキの木を切ったとのことで、そのおが屑を蒸留して抽出しました。

  1. 月桃の花

月桃は土地の言葉でサンニンと呼ばれています。月桃の葉を蒸留した月桃ハーブ水は市場に流通しているので、月桃の花から香りを抽出してみました。葉のようなスーッとした香りもありつつ、花らしいスパイシーで甘い香りもあります。

  1. マーニー(クロツグ)

私の住む桴海於茂登の森から漂うこの香りが、初夏と梅雨の訪れを告げてくれます。クロツグはヤシの一種で、土地の言葉でマーニーと呼ばれています。そのオレンジの花から香りを抽出しています(2015年のものなので、やや熟成しすぎています)。花からは強烈な芳香がしますが、抽出するとそれも和らぎ、パフュームとして使うにはちょうどよくなります。アトリエで提供している香水作りワークショップでは、この香りも素材のひとつとして提供しています。

  1. 山梔子(クチナシ)

近所のお宅の庭に咲くクチナシをいただき、抽出しました。

  1. サガリバナ

初めてこの花を嗅いだのは約8年前、観光客としてキャンプに来ていた頃、ラジオで平久保サガリバナ群生地のことを聞き、息子を連れて観に行きました。まだその頃はあまり有名ではなかったのですが、香り好きな方達が手弁当で庭園として公開していたのです。そのような場が存在することに、「香りの島・石垣島」としての可能性を感じました。サガリバナは落ちても香りを放つので、それらを抽出に使いました。

  1. 睡蓮(スイレン)

石垣島にはモネの絵のような睡蓮の池があちらこちらにあります。開花時の可憐な匂いはなかなかうまく抽出できないので、また今年も別な手法で試してみようと思います。

  1. 琉球松(リュウキュウマツ)

琉球松のおが屑を、とまい工房さんよりいただき、抽出しました。昔は樹脂分の多い枝や幹をそのまま松明(たいまつ)として利用していたそうです。場が照らされるだけでなく、辺りがこの香りで満たされるのだから、粋な演出ですね。

  1. ベチバー  

赤土流出防止の目的で、月桃と並んでグリーンベルトに使われるベチバー。ベチバーはもともと香料として有名で、市場にはインド産がよく流通しています。石垣島のベチバーはどうだろうかとの好奇心で採取したものの、まだ抽出は試みてません。素材そのままの香りは、インド産と比べると甘さ控えめでドライな印象。赤土の香りも混ざり、とても深みのある香りを放ちます。

◼︎作品解説:「バイオーム」とは

タイトルにある「バイオーム」とは、生物群系のことです。ある気候条件の地域で、それぞれの条件下での安定した極相の状態になっている動植物の集まりを指します。熱帯雨林には熱帯雨林の、石垣島には石垣島のバイオームがあり、それを嗅覚で感じてもらえたらと考えました。

これらの香りには、植物たちが高温多湿な島の気候に適応し、サバイブしてきた結果が表れています。抽出により香りをマテリアルから切り離し、抽象化することで、より香りをニュートラルに捉えられるようにしています。(MAKI UEDA)

◼︎ MAKI UEDA (嗅覚のアーティスト)

東京生まれ。2000年よりオランダ在住。2000年文化庁派遣若手芸術家として、2007年ポーラ財団派遣若手芸術家として、オランダ&ベルギーに滞在。2014年より石垣島在住。

2005年以来、嗅覚とアートの融合を試み、匂いを素材として作品を制作・発表する。欧米で流行中の嗅覚アート界の先駆者的アーティストのひとりとして、オランダ王立美術学校の学部間学科ArtScience非常勤講師として教鞭をとる他、ヨーロッパを中心に世界各地で展示やワークショップを行う。

2009年ワールド・テクノロジー・アワード・ファイナリスト(NY)、2016年、2018年、アート・アンド・オルファクション・アワード・ファイナリスト(LA)。

石垣島では嗅覚教育と嗅覚のツーリズムに取り組む。

アトリエPEPE www.pepe.okinawa

ポートフォリオ:www.ueda.nl

写真は、作家が日々素材と遊んでいる模様です。(うちいくつかは実際に抽出に使われています)