この秋の展示のご案内

まだ残暑が厳しいですが、秋の気配が感じられるようになりましたね。秋の展示のご案内です。みなさんの日常に、嗅覚的な楽しみをひとつプラスしていただけたら嬉しいです。

(1) 東京ビエンナーレ

2023年09月23日(土)-11月05日(日) オープニングレセプション:23.09.22.
超分別ゴミ箱」に参加します。

東京ビエンナーレは、トップダウンの大型ビエンナーレではなく、ボトムアップのめずらしいアートイベントです。つまり、大御所アーティストの有名な作品をありがたく拝むというより、街を巻き込んだ一種のアートのお祭り。私も恩師にお誘いいただきました。アートにおいて、そして東京という街にとって、本来こういう気運はなくてはならないもの…恩師がそのようにJ-WAVEでも語っています。LOHAS TALK でのトーク藤幡正樹 

考えてみたら私は東京生まれ。でも育ちは郊外だし、大人になってから東京に住んだことはほとんど一度もないのですが、そういった東京も私の「故郷」であり、戻るたびにいつも大好きだな〜と思います。そのため、ここで新作を発表できること、参加できることがとても嬉しいです。

展示期間中、作家は基本的に常駐しません。皆さんにお会いするとしたらアーティストトークやワークショップなどのイベントでしょうか。詳報はまたのちほど。

あのプラスチック、美味しそう 〜食べずにはいられない、命令としての匂い〜(仮称)
上田麻希 

2022.09.06. for 東京ビエンナーレ

これは、昨今話題となっているマイクロプラスチック問題を、匂いの観点からリサーチし、制作した作品です。

海亀や海鳥、魚などの海の生物が、海に浮かぶプラスチックを誤って食べてしまうことは知られていますが、ではなぜ、プラスチックを餌とまちがえてしまうか、ご存知ですか。

実は、匂いが関係しているんです。

プラスチックは、とても匂いを吸着しやすい素材です。海を長く漂ううちに、プランクトンが発するDMS(Dimethyl Sulfide / ジメチルスルフィド)という匂いを吸着します。

嗅覚の優れた海の生物たちにとっては、DMSは「豊富なプランクトン=エサ場」を意味します。しかし視覚は弱いので、おいしそうな匂いのするプラスチックを、誤って食べてしまうというわけです。

これを知った時、私もおどろき、いくつかのことを考えました。

まず、それならプラスチックを匂いを吸着しない構造にできないか。あるいは炭などで匂いを帳消しにできないか。そうすれば、マイクロプラスチック問題が、根本的に解決するかもしれないですよね。

そして、どれだけ私たちは、問題を鵜呑みにして生きているのか。なぜ問題となるのかをちゃんと知らずに、やみくもにプラスチックの使用を減らそうとしているわけですね。

さらに、どれだけ私たちは、視覚で物事を考えるんだろう。特に自然界においては、匂いが情報として優位に働いているにもかかわらず、自分たちの視覚的な感覚で海鳥のことを想像してしまう。

亀がビニール袋を食べたり、海鳥の腸がプラスチックでいっぱいになったりして、死んでしまう —

 その衝撃的な映像が広まったことにより、プラスチックの使用を控える気運が高まりましたが、それもやはり視覚的なインパクトによるものでした。皮肉なものです。

この作品では、マイクロプラスチック問題を仲介する情報化学物質DMSを、人間が快適に嗅げるよう、工夫しました。海鳥や亀のこと、想像できるでしょうか。

(2) 京都エキスペリメント

2023年10月7日(土)〜9日(月)
メディアアーティスト山内祥太さんとのコラボレーション。パフォーマンスアートです。
https://kyoto-ex.jp/shows/2023_shotayamauchi-makiueda/

きっかけはこの対談でした。
【前編】アーティストと考える「匂い」の不思議 / 連載「作家のB面」Vol.11 山内祥太
【後編】嗅覚アーティスト・MAKI UEDAに聞く、「匂い」と「アート」の関係性って? / 連載「作家のB面」Vol.11 山内祥太

ここでお話ししたことが、作品になりました。なるもんなんですね。ご縁がこういうふうに発展し、とても光栄で、私も嬉しいです。制作内容は「人間の匂い」なので、なかなかセンシティブなのですが、安全に気をつけて、みなさんの嗅覚を配慮しつつ、匂いをお届けします(笑)

特にチケットの売れ行きが良いらしいので、ご検討なさっている方はお早めにお席の確保を。私も毎公演、現場にいます。

以下、山内さんのコメントです:

Kyoto Experiment 2023にて自身初の舞台作品を発表します。

「汗と油のチーズのように酸っぱいジュース」というタイトルをつけました。本作は嗅覚アーティストの上田麻希さんとのコラボレーション作品になり、人間の匂いがテーマの作品になります。ずっと匂いの作品が作りたいと思い続けていたのですが、なかなか踏み出すことができず、というか誰に相談したらよいのかもわからないところで上田さんに出会い、今回の作品の制作が始まりました。

以下に作品ぺージリンクを貼っておきます。

https://kyoto-ex.jp/shows/2023_shotayamauchi-makiueda/

実は今作は観客を巻き込んだ、参加型の作品となっています。舞台上で匂いを生成します。

その匂いは観客の方々から採取を行います。その方法は予約してくれた人しかわかりません。

少し恥ずかしいと思うかもしれませんが、それがとても大事なことなんです。本公演は10月7.8.9日に行われ、計4回の公演を行います。そこで毎公演全く違う匂いが生まれるかもしれません。

どうやら予約が好調のようで、千秋楽は埋まりつつあります。

本格的な新作を京都で発表するのも初めてなのでドキドキしてますが、是非来てくれたらうれしいです。多分、ここでしか再現できないものになるのではないかと思っています。

では秋の京都で会いましょう。

(3) 東京川崎

2023年10月20日(金) – 11月16日(木)

夢のドリームコラボレーションの新作。詳細は追って発表します!

(4) 東京、とあるバーにてトークイベント

2023年9月29日(金)
こちらも詳細は追って発表します!