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匂いのマップ – Scentscape of Tokyo –

今後制作を考えているもののひとつに、匂いのダイナミック・マップ作りがあります。

(↑朱色のマーカーが試しに私が書き込んでみたもの)

天候にもよりますが、渋谷には下水の匂いが充満していることが多いです。それはこの街の名の通り、谷にはさまざまに川が流れ込むからではないかと考えられます。

ですが今の渋谷は国際色豊かで、道を歩くと外国人観光客のまとう香水の香りや、インドネシアのタバコ・ガラムの匂いが漂ったりもしています。飲食店の匂いも彩り豊かです。

おそらく100-200年前までの渋谷には、春はたんぽぽ、秋は柿の葉といったような、田舎っぽい自然な匂いが漂っていたことでしょう。しかし今や渋谷は、世界的でいちばん人通りの多いハチ公交差点を有し、大都市の代名詞のようでもあります。人類は、自然の匂いを排除することによって、都市を作り上げてきました。いわば都市は、人類の縄張りです。しかも人類がこのような匂い環境に晒されてから100年ほどしか経ってないにも関わらず、この環境に適応できているのは、すごいことかもしれません。あるいは適応できているとはいえないのかもしれません。

参考:都市と匂いについてのエッセイ1「人を死に追いやる匂い」
参考:都市と匂いについてのエッセイ2 「原油の匂い〜天然と合成のあいだ〜」

匂いは、消えゆくはかないものであるがゆえ、その時、その瞬間に嗅いだものを逃さず、マップに記入していきます。しかも嗅覚は個人的な体験ゆえ、個々人がスマホからその瞬間に Google Map に記入できるのが理想です。

マップ作りは、活動初期の2009年から

これまで上田はワークショップとして身近な匂いをハンティングするスメル・ウォークを開催し、Google Map を使ってさまざまな匂いマップを作ってきました。

こちらは記憶の限り、私が公共の場でアートとして行った、初めてのスメル・ウォークかな? 2009年夏、オランダ・ライデンで開催。匂いの元となるものを写真に撮って、マッピングしました。
https://ueda.nl/english-uk/workshops/walk-n-sniff/walk-n-sniff/

map_walknsniff

オランダのデザインウィーク2010では、スメル・ウォークとともに、抽出のWSとその成果展示を行いました。匂いを抽出したものを使って、アイントホーフェンの街を知らない人向けに、簡単なゲーム(チャート)をメンバーとともに遊びながら考えました。

こちらは2010年大阪編↓。考えてみたら現在でも残っている最古のダイナミックなマップです。まだスマホが一般的ではない時代でしたので、参加者それぞれPCからGoogle Mapに書き込んでもらい、デジタル上の「パブリック・モニュメント」を目指しました。現状のものを埋め込みます↓

デジタルをアナログに落としこみ、展示はこのようになりました。

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参加者を招待して、自分のアカウントから自由に書き込んでもらった初めての試みでしたが、なにしろ15年も前。ダイナミックマップ上はだいぶ匂いのスポットが抜け落ちてるのを見ると、当時のアカウントをいまだに維持している人は少ないようですね。ぜんぜんパブリック・モニュメントになってない(笑)。パブリックが作るダイナミック・マップの課題といえそうです。

シンガポールでは、Fringe Festival の一環で、シンガポール国立美術館にて抽出ワークショップと成果展示。詳細はこちら。ダイナミック・マップは使いませんでしたが(笑)個人的には作ってまだ保持しています。

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教育現場では最初に取り入れたのは、記憶が正しければ2009年5月、オランダ・ロッテルダムの美術大学 Willem de Kooning Academy にて。Google マップと、香りの抽出を組み合わせました。

このように、私の活動初期(2010年あたりまで)より世界中でこのメソッドを展開してきました。大阪から15年、日本ではまだ他にありません。

現在も個人的に細々と続けている匂いのマップ作り

10年以上拠点としている石垣島にて、四季折々の匂いを逃さずマップに記述しています。常夏な石垣島にも、いちおう四季は存在します。観光で来られた方に、その時どこに行けばどんな熱帯の花の香りが嗅げるか、ガイドブックがわりに使ってもらえればと制作しました。(こちらは現在有料配布中のため公開していません。)
https://pepe.okinawa/?product=%E7%9F%B3%E5%9E%A3%E5%B3%B6%E3%81%AE%E9%A6%99%E3%82%8A%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%97%EF%BC%88google-map%EF%BC%89

↑表示されているのは石垣島の春、1〜3月、の匂いのレイヤー。四季ごとに別のレイヤーに分けて表示している。

街中の匂いを嗅ぎ回るスメル・ウォークは、始めた当時は珍しいものでしたが、簡単に身近なところでできるものですから、世界的に見るともうたいして珍しいものではないと思います。ですが、抽出から展示まで含めた一連のワークショップメソッドを MAKI’S METHOD としています。