このたび、Civic Creative Base Tokyo(通称 CCBT)の2025アーティスト・フェローに選出されました。
CCBTは、東京都や都の文化財団が運営する先進的な公共クリエイティブ施設です。デジタル技術や社会的テーマとアートを融合し、ワークショップ、展示、講座、シンポジウムなど多彩なプログラムを年間通じて無料で提供しています。
この夏より来年3月の約半年間にわたり、嗅覚アートを東京のみなさんと共有させていただく機会となります。これまで日本では私設アカデミー(pepe.okinawa)は設けていますが、今回はより幅広く、特に現役学生さんなど若い世代にリーチするチャンスと捉えています。採択率4%だったそうです。当プロジェクトを選んでくださったメンターの方々に感謝の意を表するとともに、持っているものを精一杯提供させていただこうと決心いたしました。
今後のお知らせは、当サイトと合わせてインスタグラム @smell.academy 上で行っていきます。まずは以下のプロジェクト概要をご覧ください。
見えない空気を可視化する〜コモンズとしての空気と匂い〜
匂いを手がかりに「コモンズとしての空気」を学び、見えない空気を見える化・体験化する複合プロジェクト。以下の3つのパートから成る。
PROJECT #1:レクチャー・ワークショップからなる学びの場の創出
PROJECT #2:極めて主観的な感覚である嗅覚をテクノロジーで測ることで嗅覚世界を可視化するリサーチ
PROJECT #3:空気の循環を表現する空間作品を制作・発表
人間を含む全ての生物がやりとりしている「空気」から、生物多様性やバイオームへの思考を促し、世界を捉える新たな視点を生み出すことを目ざす。

photo: Takumi Taniguchi

PROJECT #1: においの大学
- 目的:日本初(たぶん)、嗅覚アート教育の場「においの大学」。嗅覚アートへの関心と知識・技術を底上げする。
- 構成:
- 1. Meet Up:勉強会・ディスカッション・ブレスト。嗅覚の違いや都市の匂いなどをテーマに共有・探求。
- 2. ワークショップ:温室効果ガスの調香や空気の匂い抽出などを実施し、嗅覚の理解を深める。
- 3. ゲストレクチャー:嗅覚に関する最先端の研究者を招いた公開講座。
- 4. スタジオオープンデー:上記成果の一般公開と参加者の作品発表を行い、コミュニティ化を図る。
- 教育的側面:
- 1. 安全性を尊重した制作技術の共有、アーカイブ化も含む。
- 2. 大学のゼミや研究室のように、メンバーを募り、共に創作活動をしていきます(7月募集開始予定! 募集要項・条件などは現在制作中です。募集多数の場合は選考の場合も)。



PROJECT #2: 東京の空気の可視化
- 技術的アプローチ:リコー社FAIMS(イオン移動度スペクトロメータ)を用いて、都市空気の見えない匂いを計測。
- 実施内容:
- 徒歩計測WS:人間と犬による比較。匂いの違いを体感し、バイオーム的観点から思考を促す。
- 車での広域計測:都市中心から郊外へ移動し、空気の地域特性を分析。
- 可視化WS:FAIMSデータに基づき、東京の空気の性質を議論・体感するワークショップ。
- 展示:
- 地図上に匂いをマッピング(マイクロカプセル使用)
- AR(映像・音・匂い)による犬の擬似体験:匂いを濃淡で再現する装置を用いたインタラクティブ体験
- 社会的文脈:空気をコモンズと捉え、公害・温室効果ガス・匂いによるトラブルなどを知覚的に理解させる。




PROJECT #3: 空気の循環
- 内容:密閉空間(小型温室など)内で、匂いと空気の循環・視覚化に関するインスタレーションを制作。
- 構成要素:
- 匂いの物質化:霧化・スモーク装置を用いて匂いの可視化を行う。
- 気流の可視化:レーザー・クリーンルームライトなどで空気の動きを視覚表現。
- 観客の匂いの可視化:人間自身の体臭が密閉空間内に与える影響を視覚化し、「自分の匂いは嗅げない」というアイロニーを体感する。



お知らせやアーカイブは、当プロジェクト専用インスタグラム @smell.academy 上で行っていきますので、ご興味ある方はフォローしてください!